畝傍高等学校/奈良学園高等学校(文理コース)/奈良県立大学附属高等学校 合格

「先生、僕はもう受験を辞めたいです。奈教は体験にも行ったことがないし、希望していた学校でもないのに、遠くまで毎日通いたくありません。」これは、中学受験で第三志望校に落ちた日に、泣きながら僕が先生に言った言葉です。
でも、僕の尊敬する恩師はそんな僕に「絶対、奈教に行くことは笙のためになるから。」と何度も説得し引き留めてくれました。
この出来事は強く記憶に残っており、今思い返すと、僕の人生の分岐点だったと感じています。

そして僕は奈良教育大学附属中学校に進学することになりました。
当時の僕は奈教やその環境にあまり良い印象を持っておらず、最寄り教室で紹介された奈教生限定かつ、選抜基準が設けられている新大宮教室への移動も、否定的に捉えていました。良いところを見ようとしない人間に良いところが見えるはずもなく、中学一年の夏休みにサッカーに重きを置いた結果、塾の勉強についていけなくなりました。そして孤独感と、何もうまくいかないやるせなさでいっぱいになりました。塾の授業が何度もしんどくなり、この状況から逃げ出したい一心で、新大宮教室の退塾を考えました。その思いを、あたかも正論のような薄っぺらい理屈を並べ、先生に伝えました。

しかしその時、先生は「ほんまにその言葉が笙の本心か、考えてほしい。」と言ってくれました。
その言葉に、僕が取り繕っていた心の内側を見透かされた気がしました。その後、先生は自身の高校時代の経験を交えながら、僕の気持ちに寄り添って話してくれました。
それはただ甘い言葉で引き留めるのではなく、僕の本心と向き合い、一人の人間として接してくれるものでした。

それから僕は、新大宮教室のおかげで自分が本当に恵まれた環境にいることに気づきました。
そして二学期期末テストで良い点数を取ると決め、必死に努力しました。しかし期間が短く、思うような結果は出ず、とても悔しい思いをしました。
それでもこの悔しさを次につなげようと、学年末テストに向けて猛勉強を始めました。休日にサッカーの試合を終えた後、夜8時から塾に行くこともありました。
この頃の僕は、「絶対に点を取らなければならない」という義務感ではなく、好奇心のままに問題を解き、様々なことに疑問を持ちながら勉強していました。

そんな僕の話を、どんな内容でも親身に聞いてくれた先生がいました。
その先生は国語の授業や教室の仕事をこなしながら、勉強に関係のない話でも決して否定せず、目線を合わせて向き合ってくれました。未熟な僕の考えにも耳を傾け、新しい価値観を与えてくれました。この経験は、今の僕にとって大きな糧となっています。
いつの間にか、新大宮教室はただの塾ではなく、僕の人生の一部になっていました。
塾に行くことが楽しみになり、その結果、学年末テストでは5教科で大きく点数を伸ばすことができました。

しかし二年生になると、サッカーのリーグ戦が始まり、忙しくなりました。
学校生活の楽しさにも流され、勉強に十分に向き合えないまま、気づけば三年生になっていました。初めて受けた模試の結果を見て、自分の努力不足を痛感すると同時に、目指していた畝傍高校がどれほど遠い存在かを思い知らされました。勉強とサッカーの間で揺れ動く日々は、とても苦しいものでした。十月になっても成績は思うように上がらず、受験と最後の大会が重なったこの時期が、受験生活で最も辛かったと感じています。勉強の心配をしてくれる親にも強く当たってしまい、家にも居づらくなり、受験直前の周りの雰囲気に今の自分は見合っていないように感じ、塾にもいづらくなり、自分の居場所がどこにもないように感じていました。
何が正しい選択なのか分からず、ただ混乱していました。

そんな中、学校の進路懇談で志望校を下げるように言われました。
悔しかったですが、これまでの自分の努力を考えると、当然の結果だとも分かっていました。その後、塾長の先生に懇談の内容と自分でももう行けると思わないことを伝えると、「しんどいのは最初から分かっていただろう。でも笙くんならいけると思っているよ。誰にもなにも言われないくらい圧倒的な結果を出してやろう。」と言ってもらいました。自分が諦めかけていた夢を、自分よりも信じてくれている人がいる。それだけで、もう一度頑張ろうと思えました。

サッカー引退後は勉強に集中し、成績も少しずつ上がっていきました。
リアル入試では6点差で不合格でしたが、「あと少し」という自信にもなりました。志望校別特訓で他教室に行って、同じく畝傍を目指す他教室の生徒と、過去問などで点数を出しながら競いました。その時、他教室の先生達は、なかなかいい点数が出ずに悩む僕にアドバイスをくれたり、担当教室の生徒でもないのに、僕が質問に行っても丁寧に対応してくれたりしました。おかげで、点数が伸びていきました。私立入試ではかなりの挑戦校ではあったけれど、なんとか合格を勝ち取ることができ、自信を持って本番の公立入試に臨むことができました。試験の日、今までとてつもなく遠く感じていた畝傍高校があと一歩のところにある。そう考えると指が震えたけれど、ここまで頑張ってきた自分と支えてくれた周りのことを思い出すと、自然と勇気が湧いてきました。

そして合格発表の日。
合格の文字を見つけた瞬間、先生たちと一緒に喜びを爆発させました。

この結果は決して一人でつかんだものではありません。
どれだけ意見が対立しても毎日お弁当を作ってくれたり、成績が伸びなくても信じてお金を払って「笙はできる子やで」と応援し続けてくれたりした家族がいました。受験の不安で押しつぶされそうな時「一緒に頑張ろう」と何度も助けてくれたり、嬉しいことも悲しいことも一緒に共有してくれたりした友がいました。僕の意見を尊重した上で、僕が道から外れてしまった時は叱咤激励して、同じ目線に立って話してくれたり、僕を信じて背中を押してくれたりした先生方がいました。考えれば考えるほど周りへの感謝が溢れてきます。周りに信じてもらい、僕も周りを信じてやり切った結果だと思います。

これからは、今までのように何かあるたび先生に相談することもできません。自分で選択していかなければならない場面が増えると思います。それが今はすごく不安です。
それでも、信頼できる人達と一緒に、自分なりの正解を見つけて進んでいきたいです。先生方、長い間本当にありがとうございました。僕が大学生になったらぜひ飲みにいきましょう。

KEC
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