同志社大学のアドミッションズオフィス方式・AO入試(総合型選抜)の概要

同志社大学は1875年に新島襄が創立した歴史ある大学で、「良心教育」「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」を教育理念としています。単なる知識や語学力の習得にとどまらず、「良心を手腕に運用する人物」を育成する姿勢は、人物重視の総合型選抜（旧AO入試）とも親和性が高いのが特徴です。アドミッションズ・オフィス(Admissions Office)は本来「入学許可業務」を指しますが、現在では大学や学部が求める人物像に合う受験生を総合的に選抜する方式を意味します。

同志社大学では、2025年度入試より「【総合型選抜】アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試)」というように、「総合型選抜」のひとつとしての位置づけとなりました。また、2026年度入試(2025年度実施)では商学部・生命医科学部・スポーツ健康科学部の3学部で実施されます。いずれも少人数制で、計16名と狭き門です。

同志社大学のAO入試の特徴

同志社大学のAO入試は、単に知識量や特定の技能(一芸一能)だけを評価するものではなく、受験生一人ひとりの個性や能力、真の学力、意欲や将来の可能性を総合的に評価するのが大きな特徴です。出願書類(自己紹介書、志望理由書、エッセイ等)や調査書に加え、2通の志願者評価書も必要で、他者から見た人物像も含めて多角的に審査されます。特に2,000字以内のエッセイでは、論理性・独創性に加えて、自身の経験を社会や他者への貢献にどう結びつけるかが重視されます。

この選抜方式は、「同志社大学で学びたい」という強い意志を持つ人を迎え入れたい、という趣旨に基づいています。2つの学部に応募することはできませんが、専願制ではないため他大学との併願は可能です。「なぜ同志社でなければならないのか」という理念との結びつきが問われる点が他大学との大きな違いです。

合否は多面的な視点から総合的に判断されるため、突出した才能だけではなく、幅広い観点からの評価が重要となります。

KECは「KECの総合型選抜」という仕組みを使って、診断から添削、面接対策までを一貫してサポートします。お子さまと保護者さまの不安をスムーズに解消できるよう、LINE相談や個別添削サポートも実施しています。

同志社大学の総合型選抜「AO入試」と「自己推薦入試」の違い

AO入試と自己推薦入学試験は、どちらも総合型選抜に分類される試験方式です。

AO入試が3学部にとどまるのに対し、自己推薦は、神学部や心理学部から理工学部に至るまで幅広いジャンルの学部で実施されており、定員も多く設定されています。

自己推薦は各学部でそれぞれ出願資格が定められており、スポーツ健康科学部であれば、全国レベルでの大会に正選手として出場したこと等が求められます。

自己推薦が数値や実績といった客観的な証明ができる技能を持った受験生に向いているのに対し、AO選抜は「同志社大学での勉学に対する強い意欲と自己アピール」(入学試験要項のQ&A欄より)があれば出願できる、より間口が広い受験方式です。

参照元：同志社大学｜アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試) 14ページ

同志社大学のAO入試の合格倍率(2025年度)

同志社大学は、2025年度のAO入試の合格率を以下のように公表しています。

• 商学部　商学科　フレックス複合コース：2.6倍
• 文化情報学部(2026年度は廃止) 　文化情報学科：3.4倍
• 生命医科学部　医情報学科：4.0倍
• スポーツ健康科学部　スポーツ健康科学科：10.3倍

上記のように、学部や学科によって倍率は大きく異なりますが、全体平均は3.9倍という結果でした。

参照元：同志社大学｜【総合型選抜】2025年度 アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試) 結果

同志社大学のAO入試の出願資格・入試条件

同志社大学の入学試験要項には、AO入試の出願資格として、一般的な「高校卒業」等の他に以下のように明記しています。

1. 　同志社大学で勉学したいと強く希望し、第一志望として入学を志す者。
2. 　志望する学部が求める学生像に即した志望理由を持ち、かつ、志望する学部が定める個別の出願資格を満たす者。

引用元：同志社大学｜アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試) 5ページ

「学生像」についても、同要項に「AO入試における各学部の求める学生像」として詳しく書かれています。また、商学部では外国語検定において一定以上のスコアが求められる一方、生命医科学部（医情報学科）では指定の科目の学習成績が問われるなど、同志社大学では各学部ごとに出願資格が大きく異なあります。志望する学部の出願要件は何か、必ず確認しましょう。

同志社大学のAO入試の併願

同志社大学のAO入試は1学部のみしか志願できないため、例えば商学部と生命医科学部への同時志願はできません。ただし、同志社大学でのAO入試と自己推薦(スポーツ)入試の併願は可能です。とはいえ、それぞれの入試で求められる人物像は異なるので、両方にマッチしている必要があります。また、2026年度入試において、AO入試と自己推薦入試が両方設定されているスポーツ健康科学部スポーツ健康科学科では、第2次審査が同じ日でした。

参照元：同志社大学｜2026年度   入学試験要項 2ページ

同志社大学のAO入試の日程

以下に2026年度(2025年度実施)の同志社大学のAO入試日程を記載します。

1. 出願書類受付期間：2025年9月1日(月)～9月5日(金) 　 ※消印有効で郵送提出
2. 第1次審査(書類)合格者発表： 2025年10月6日(月)15:00
3. 第2次審査：商学部 2025年10月25日(土) 　生命医科学部 2025年10月11日(土)スポーツ健康科学部 2025年10月19日(日)
4. 第2次審査合格者発表： 2025年11月6日(木)

参照元：同志社大学｜アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試)

同志社大学のAO入試の出願書類

AO入試は提出書類が多く、学部等によって異なるので、まず内容をしっかり把握し、スケジュールを組んでそろえていくことをおすすめします。

出願書類の概要

同志社大学のAO入試に必要な出願書類は以下の通りです。

• 出願確認票
• 出願書類一覧表
• 自己紹介書
• 志望理由書
• 自由テーマによる日本語のエッセイ
• 出身学校長が作成した調査書またはそれに代わるもの
• 志願者をよく知る者による志願者評価書(2通)
• 自己アピールの資料等(商学部受験者、生命医科学部を受験する既卒者は不要)
• 英語による自己PRの録画資料(商学部のみ)
• 出願資格を証明する書類(商学部のみ)
• 令和7年度大学入学共通テスト成績通知書(生命医科学部を受験する既卒者のみ)

提出の際は各書類を書類番号順に並べる作業が必要です。1部でよいものと2部提出すべきものがある他、原本を出すべきものとコピーでよいものもあるため、間違いがないよう注意しましょう。

なお、同志社大学のAO入試出願書類は郵送でのみ提出可能で、窓口提出はできません。封筒には、同志社大学の公式webサイトに用意されている「郵送用宛先用紙」を貼って送付しましょう。

参照元：同志社大学｜アドミッションズオフィス方式による入学者選抜(AO入試)

自己紹介書のポイント

自己紹介書は同志社大学の所定の様式を使用します。記載する内容は、学歴や活動歴、自己アピール等が中心です。あわせて、感銘を受けた本や芸術を通して、自分らしさを伝えることも大切にしてください。

「自己アピールできるもの」という欄には、語学スキル、文化活動、スポーツ、ボランティア活動、コンピュータ関連スキル、指導性、独創性、学業成績、その他(留学等)から最大2つを選び、所定様式に500字以内で具体的に記入します。

文字数の制限があるので、冗長にならないように注意しながら、自分の強みや成果を伝えるよう、意識する必要があります。

志望理由書のポイント

志望理由書は出願書類の中でも評価の対象になりやすい重要な書類です。所定様式があり、文字数は1000文字以内と限定されています。様式に沿って、志望理由や将来像、学習計画等をしっかり盛り込みましょう。また、面接時に話す内容が志望理由書の内容と合うように、自分の考えを自分の言葉で書くことも重要です。

書類と面接の齟齬を防ぐために、提出の際にコピーを取っておき、面接に臨む前に志望理由書を読み返すことをおすすめします。

エッセイのポイント

エッセイは大学指定の様式に沿って日本語で2000字以内で書きます。提出書類の中で最も文字数が多く、自分の個性を強くアピールできるのが特徴です。

ただしテーマが細かく限定されているわけではなく、生命医科学部の場合、内容は完全に自由です。一方、商学部はビジネス関連、スポーツ健康科学部はスポーツ関連と大まかな指定はあります。とはいえ、「自由度が高すぎて何を書いたらいいかわからない」と悩む受験生が多いのがエッセイの難しい点です。

エッセイの内容設計や添削はKECにお任せください。東京大学と共同開発した性格診断をもとに性格特性を活かした「自分らしさ」を伝える内容を設計し、AO入試対策で支持を集めるカンザキメソッドで論理と個性を両立させ、添削を繰り返し、大学に評価される文章へと仕上げます。

商学部(商学科フレックス複合コース)AO入試の特徴

商学部のAO入試は、英語力とプレゼンテーション力が問われるのが特徴です。

商学部(商学科フレックス複合コース)AO入試の概要

2026年度の商学部商学科フレックス複合コースの募集人数は10名です。

商学部が求める学生像は、国際感覚と商学知識を兼ね備えており、国際社会で良心に基づいて問題解決できる人物です。また、その目標を達成するための要素として、自由な発想と高い語学力を持ち、ビジネスに関心があることも示されています。

商学部だけの出願資格として、TEAP、TOEFL iBT テスト、IELTS(アカデミック・モジュール)、TOEIC等の英語系の資格試験で規定以上の数値を取っていることも必須です。

商学部(商学科フレックス複合コース)AO入試のポイント

商学部(商学科フレックス複合コース)AO入試の第2次審査では、試験時間2時間の小論文と、約30分の面接が行われます。なお面接の冒頭5分間は英語でのプレゼンテーション(口頭発表等)なので、しっかり準備しておく必要があります。小論文では、制限時間の中で仕上げる力や、論理的な記述はもちろんのこと、データを読み取る力や英文資料の読解が求められることが想定されます。

KECの強みは、出願書類からプレゼン資料、面接練習まで一貫してサポートできることです。同志社大学が求める国際感覚と論理性を踏まえた志望理由も、自信をもって書けるよう導きます。

生命医科学部(医情報学科)AO入試の特徴

2026年度入試では募集人数はわずか2名の“狭き門”です。生命医科関係の研究に強い関心を持ち、主体的な努力で挑戦できる学生となれる人材として、学習成績や素養をアピールしましょう。

生命医科学部(医情報学科)AO入試の概要

この学部は、工学と医学を融合し、生命をキーワードに活躍できる人材の育成を目指しています。求める学生像としては、電子・情報技術を活かし、脳内情報処理や生体情報の研究、医用機器開発に意欲を持つ人が挙げられます。

生命医科学部(医情報学科)AO入試のポイント

生命医科学部の第2次審査は、30分程度の面接と口頭試問です。このとき、希望すれば5分以内で口頭によるプレゼンテーションもできます。

プレゼンする場合、事前の申し込みは不要です。また、プレゼン内容は提出資料の補足や志望学部に関連する内容に限定されています。

また、各学部共通の出願書類の自己紹介書にある「自己アピールできるもの」について、生命医科学部では「第三者による評価を示すことが望ましい」とされていて、「自己アピールできるもの」が「学業成績」のみである場合は、いわゆる「評点」の基準が厳しくなります。

生命医科学部は研究意欲や説明力が評価されます。KECでは診断によってお子さまの探究心を可視化し、カンザキメソッドで志望理由と研究テーマを結びつけます。自己アピールを整理することで、自分の強みを明確に理解できるよう導きます。

スポーツ健康科学部(スポーツ健康科学科)AO入試の特徴

競技成績よりも、スポーツを「する・観る・支える」のいずれかにおいて、スポーツに深く関わった経験が問われるのが特徴です。2026年度入試の定員は4名です。

スポーツ健康科学部(スポーツ健康科学科)AO入試の概要

スポーツ健康科学部が求める学生像は、スポーツ、健康、社会環境に関して、知識や技能を積極的に学び、思考力、判断力、表現力をもち、主体性、多様性、協働性をもって取り組む人材です。

また、スポーツ健康科学部に出願するには、スポーツに深く関わった経験があることや、スポーツ健康科学に関して学びたいテーマをもつことが求められます。

スポーツ健康科学部(スポーツ健康科学科)AO入試のポイント

スポーツ健康科学部の第2次審査は、試験時間1時間の小論文と面接です。面接は5分程度の自己紹介と10分程度のプレゼンテーション、15分程度の質疑応答による口頭試問で構成されています。なお、プレゼンはPowerPointを使用するのが義務付けられているのでパソコンとプロジェクターの操作に習熟することが大切です。

AO入試では、スポーツを「する・観る・支える」いずれかの経験と研究意欲、論理的思考力、表現力等が重視されます。そのため評価対象が競技成績の高さのみではないこと、学修意欲と研究テーマの明確さが合否のポイントとなることを理解しておきましょう。

KECでは、スポーツ健康科学部をめざす人に向けて、自己分析を通した経験の言語化を行い、プレゼンや小論文につなげる訓練を実施しています。これによって、受験生が自分の取り組みについて自信をもって語れるようになる例が多いです。

よくある質問

最後に、同志社大学のAO試験に関してよくあるQ&Aを紹介します。

同志社大学で他大学とのAO入試の併願はできますか？

同志社大学内のAO入試での志願は1学部のみと限定されています。そのため、例えば同志社大学の商学部と生命医科学部に同時に志願することはできません。
しかし、同志社大学のAO入試は専願制ではないため、他大学との併願は可能です。

同志社大学でAO入試を実施する学部はどれですか？

同志社大学のAO入試は商学部、生命医科学部、スポーツ健康科学部の3学部で実施されています。

まとめ

同志社大学のAO入試は商学部、生命医科学部、スポーツ健康科学部で実施されており、提出書類や試験内容は学部ごとに異なります。最新の募集要項を踏まえて、早めの準備を進めましょう。

AO試験は学力のみを評価しないため、志望理由やエッセイ、プレゼンテーションなど多面的な力が問われるため、準備で戸惑うお子さまも少なくありません。同志社大学が掲げる「良心教育」や「国際主義」といった教育理念を理解し、それを自分の経験や将来像と結び付けて語れるかどうかが合否を左右する大きなポイントです。

同志社大学は関西私学「関関同立」の一角を占め、就職力にも定評がある総合大学です。だからこそ、大学の特色と自分の強みをどうリンクさせるかが重要になります。

KECでは、性格診断や面談を通じてお子さまの強みを見える化し、それに基づいたオーダーメイドカリキュラムを用いて、学部選択や将来につながる進路決定に導きます。同志社大学のAO入試では、提出書類や面接を通じて、大学の理念や学生像と受験者の志望動機・経験の接点を示せることが、評価上有利になる可能性があります。特に、教育理念や学生像を重視する出題・評価観点が明記されているため、その理念とお子さまの強みを結びつけて語れるよう導くことが重要です。

自分のやりたいことがまだ分からないお子さまでも、強みや適性、向いている学部を把握することで、同志社大学が評価しやすい表現軸を持って選べるようサポートします。同志社大学を目指すお子さまと保護者さまは、ぜひ安心してKECにご相談ください。