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「めんどくさがり」の黒幕は、
誰かの人生の「きっかけ」を企てる

プロダクトマネージャー伊達 隼

  • どこにでも現れる謎の男、
    その正体は究極の面倒くさがり?

    関わりの薄い社員に「伊達さんってどんな人?」と尋ねれば、ほぼ全員がこう答えるだろう。「いつも寡黙で、感情の起伏がない人」。冷静沈着、ポーカーフェイス。しかし一度仕事を共にすれば、評価は180度ひっくり返る。「めちゃくちゃ好奇心旺盛!」「コミュ力高すぎでしょ」。そして最近、社内で囁かれている都市伝説がある――

    「どこにでも伊達がいる」。

    忍者のように社内を駆け回り、巻き込み、巻き込まれ、縦横無尽に姿を現す男。だが、本人の口から飛び出したのは、あまりにも意外すぎる自白だった。「簡単に言うと、僕、めちゃくちゃめんどくさがりなんです」。セルフマネジメントは欠損気味、自分のことには一切興味が持てない。そんな“パーフェクト・めんどくさがり屋”が、なぜ社内を奔走し、他人のために汗を流し続けるのか? この男の裏の顔を解体すると、そこには熱く煮たぎる「誰かの人生へのエゴ」が潜んでいた。

  • 駐在さんとの700日戦争と、
    eスポーツで見つけた希望

    幼少期の伊達を一言で表すなら「欲望に忠実で諦めの悪いガキ」。高校時代には名作小説『僕たちと駐在さんの700日戦争』に強烈に憧れ、大人たちを相手にイタズラを仕掛けまくる日々を送っていた。エネルギーの矛先を完全に間違えていた少年だったが、その「諦めの悪さ」と「欲望への忠実さ」は、やがて運命の出会いによって正しくバグを起こし始める。

    転機となったのは、eスポーツの世界に関わったことだった。そこで出会ったのは、多くの不登校生たち。「社会からあぶれた」と見なされがちな彼らだったが、伊達の目には全く違う姿に映っていた。「こんなにも素晴らしい人材で、圧倒的な素質があるのに、活躍できる場所が少なすぎる」。

    強みを伸ばせる環境さえあれば、彼らは誰よりも輝けるはずだ。欲望のままに突き進んできた元・悪ガキの胸に、初めて「他者への貢献」という名の炎が点火した瞬間だった。この原体験が、伊達を教育の世界へと突き動かしていく。

  • 「まだ自分はこんなもんじゃない」
    身体を壊して知った、周りの温もり

    起業家としてもキャリアを歩んだ伊達だが、自身の成功やキャリアには驚くほど無頓着だった。自分のキャリアなんてどうでもいい、興味があるのは「共に働くみんなのキャリア」だけ。自分のことには途端にめんどくさがりになる男が、誰かの人生の「きっかけ」になるためだけにエネルギーを注ぐ。

    しかし、突っ走りすぎた代償は大きかった。時に限界を超えて身体を壊し、倒れることもあった。万事休す――だが、その絶望の淵で彼を救ったのは、家族や知人たちの手厚いフォローだった。「自分は運が良く、常に周りに支えられている」。一人では何もできないと思い知らされたとき、伊達の中に強い決意が芽生える。周囲への深い感謝と、「まだまだ自分はこんなもんじゃない」という強烈な自己暗示。倒れるたびに強くなり、大きくなって恩返しをする。傷だらけのヒーローは、何度でも立ち上がってきた。

  • 「集める」のではなく「集まる」。
    激似の「鏡」と巡り会った聖域

    そんな伊達がKECの理念に触れた時、運命の歯車がカチリと音を立てた。「率直に、自分がこれまでやってきたこと、考えていたことと完全に一致していました」。特に胸を打たれたのが「集めるのではなく、集まる」という言葉。一瞬で心が奪われ、KECの抱える様々な課題を、気づけば「自分事」として解決しようと思考を巡らせていた。

    そして何より驚いたのは、代表・小椋との出会いだった。「人間として似ている部分が多すぎる」。鏡を見ているかのようなシンクロ感。だが、運命の演出は憎い。人間性の波長は激似なのに、得意とする専門分野が見事に真逆だったのだ。もし同じ武器しか持っていなければ、ただの同好会で終わっていただろう。

    しかし、異なる専門性を持つ二人が熱く意見を交わし合うことで、爆発的な化学反応が生まれる。「たとえ自分の考えが優れていたとしても、異なった意見を知った上で自信を持つのとでは、言葉の重みが全然変わる」。多種多様な意見を尊重するが故に方向性を取りまとめるのが苦手だった組織において、要件定義や場を取りまとめる確かなスキルを持つ伊達は、まさに「欠けていたラストピース」だったのだ。

  • 人々の前に「きっかけ」を。
    最高のチームで紡ぐ、連鎖する未来

    「あなたにとって豊かな人生とは?」という問いに、伊達は少し考えたあと、こう答えた。「常に新しい変化や希望、あるいは絶望かもしれないけれど、人々の前に『きっかけ』がある世の中でしょうか」。人生のターニングポイントを尋ねても「まだそんな機転に到達していない」と笑う。彼の視線は常に未来を向いている。これから5年でIT分野での新規事業創出、SaaSプロダクトの複数展開、そして自社基幹システムの完成を成し遂げる。

    そして小椋だけでなく、KECという組織全体が「お互いのために意見を交わし合い、成長し合う連鎖」で満ちていると彼は実感している。「人間が人間のために仕事をする」。当たり前のようで難しいこの本質を、働いた先や仕事の提供先に対しても真に体現できている確信があるのだ。「自分のため」ならどこまでも面倒くさがりな男が、「誰かのため」にならどこへでも飛んでいく。譲れないこだわりは「笑顔と思いやり」、そして「仲間と一緒に成長すること」。

    「どこにでもいる伊達さん」は、今日もどこかでニヤリと笑いながら、仲間たちと熱い言葉をぶつけ合い、誰かの人生を劇的に変える「きっかけ」を企てている。